栄養コンシェルジュ新着情報:2027年から本マグロの漁獲枠25%拡大へ|クロマグロの資源回復と栄養、食品カテゴリーマップ®で考える魚の選び方

2026年8月20日

2027年から、私たちの食卓でも親しまれている「本マグロ」を取り巻く環境が変わろうとしています。



太平洋クロマグロの資源管理を話し合う国際会議で、日本を含む中西部太平洋における30kg以上の大型魚について、漁獲枠を25%拡大する新たな資源管理方式が合意されました。一方、将来の資源を支える30kg未満の小型魚については、漁獲枠を6%減らす方向です。



「漁獲枠が増える」と聞くと、単純にマグロをたくさん獲れるようになったようにも感じます。しかし今回のニュースには、長年にわたって続けられてきた国際的な資源管理と、その結果としてのクロマグロ資源の回復があります。



そして、せっかく本マグロに注目が集まっている今だからこそ、栄養の面からもマグロについて少し詳しく知ってみませんか。



普段何気なく食べているマグロも、赤身とトロでは栄養成分が大きく異なります。



「魚だから身体に良い」というイメージからもう一歩踏み込み、食品の特徴を知り、自分の目的に合わせて選ぶ。



今回は、本マグロのニュースから「食品を選ぶための栄養学」まで考えていきます。



本マグロの漁獲枠が拡大される背景には「資源回復」がある



一般に「本マグロ」と呼ばれている魚がクロマグロです。寿司や刺身をはじめ、日本の食文化とも深く関わってきた魚ですが、その資源を守るため、国際的な資源管理が続けられてきました。



太平洋クロマグロは過去に資源量が大きく減少しましたが、各国・地域による漁獲規制や資源管理が進められた結果、資源状態は回復してきています。



水産庁の資料によると、太平洋クロマグロの親魚資源量は2021年に回復目標を達成し、2022年には約14万4,000トンと推定されています。



こうした資源回復を背景として、今回、日本を含む中西部太平洋では30kg以上の大型魚について、漁獲枠を現行の11,869トンから14,836トンへ25%増加させる方向となりました。



その一方で、30kg未満の小型魚については5,125トンから4,823トンへ約6%削減する方向です。



つまり今回の決定は、単純な「漁獲量の増加」ではありません。将来の資源につながる小型魚を守りながら、回復してきた資源をどのように持続的に利用していくのか。そのバランスを考えた資源管理の一環として理解することが大切です。



私たちが食べている「本マグロ」は、栄養学的にはどんな食品?



資源管理のニュースをきっかけに、もう一つ知っておきたいのが本マグロの栄養です。



文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」によると、天然クロマグロの赤身・生100gには、エネルギー115kcal、たんぱく質26.4g、脂質1.4gが含まれています。



赤身はたんぱく質を多く含み、脂質が比較的少ないことが特徴です。



さらに、クロマグロにはビタミンDやビタミンB群、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などを含むn-3系多価不飽和脂肪酸も含まれています。



ここだけを見ると、「やっぱりマグロは高たんぱくでヘルシー」と考えたくなるかもしれません。



しかし、栄養学ではもう少し丁寧に食品を見る必要があります。



同じ本マグロでも「赤身」と「脂身」では栄養が大きく変わる



天然クロマグロの赤身・生100gが115kcal、たんぱく質26.4g、脂質1.4gであるのに対し、脂身ではエネルギーや脂質量が大きく増えます。



つまり、「マグロは低脂質な食品」という説明は、赤身には当てはまりやすくても、マグロという食品全体を表現する言葉としては十分ではありません。



さらに、天然と養殖でも栄養成分には違いがあります。



ここに、栄養学を実際の食生活へ活用するときの大切なポイントがあります。



「マグロには何が含まれているのか」を知ることはもちろん重要です。しかし、それだけでは食品選択にはつながりません。



自分が今食べようとしているのはどの部位なのか。どのくらい食べるのか。ほかに何を組み合わせるのか。そして、自分は何を目的としてその食品を選ぶのか。



食品の栄養価を知ったうえで、自分の目的に合わせて選択すること。



これが、知識を実生活で使うということです。



マグロなどの魚介類は食品カテゴリーマップ®の「カテゴリー2C」



一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会では、毎日の食品選択をより分かりやすくするために「食品カテゴリーマップ®」を活用しています。



食品カテゴリーマップ®では、世の中に存在する多くの食品を栄養学的な特徴から7つのカテゴリーに整理しています。その中で、マグロをはじめとする魚介類はカテゴリー2Cに分類されます。



大切なのは、カテゴリー番号を暗記することではありません。



例えば、「今日はマグロを食べたから健康的だった」と判断するのではなく、マグロが食事の中でどのような役割を持つのかを理解し、ほかの食品カテゴリーとの組み合わせまで考えていきます。



さらに同じカテゴリー2Cに分類される食品でも、魚種や部位によって栄養成分は異なります。



食品カテゴリーマップ®は、こうした食品の違いを理解しながら、膨大な食品情報を日々の選択へつなげていくためのツールです。



「身体に良い食品を覚える」のではなく、目的に合わせて食品を選べるようになる。



栄養コンシェルジュ®が食品カテゴリーマップ®を通して身につけてほしいのは、その力です。



一切れのマグロから「食べること」の背景まで考えてみる



今回の本マグロのニュースには、もう一つ大切な視点があります。



私たちがスーパーや飲食店で食品を手にするとき、その背景まで意識することはそれほど多くありません。しかし、一切れのマグロが食卓へ届くまでには、海洋資源、漁業、国際的な資源管理、市場、加工、物流、小売など、多くの人と仕組みが関わっています。



太平洋クロマグロについても、資源量が大きく減少した時代があり、その後の国際的な管理を経て、現在の資源回復につながっています。



食事とは、栄養素だけを摂取する行為ではありません。



私たちが日々食べている食品が、どこから来て、どのように作られ、どのような人たちによって届けられているのかを知ることも、食への理解を深めることにつながります。



本マグロの漁獲枠拡大というニュースは、マグロの価格や流通量だけでなく、私たちの「食べる」を支えている背景について考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。



「マグロは身体に良い」で終わらない栄養学を



「マグロにはたんぱく質が多い」



「魚にはDHAやEPAが含まれている」



こうした情報は、インターネットを検索すればすぐに見つけられます。生成AIを使えば、栄養成分について詳しく調べることもできる時代になりました。



だからこそ、これから重要になるのは情報の量ではありません。



その情報が何を意味しているのかを理解し、自分や目の前の人に当てはめて考え、実際の食品選択へつなげられるかどうかです。



例えば今回のマグロでも、赤身とトロでは栄養成分が違います。食べる人の目的が変われば、選び方や量、組み合わせも変わります。



「何が身体に良いですか?」から、「私には何を、どう選べばよいですか?」へ。



この視点を持てるようになると、栄養学は単なる知識ではなく、毎日の生活で使える力になります。



栄養を「知る」から「選べる・伝えられる」へ|栄養コンシェルジュ®



栄養コンシェルジュ®では、食品カテゴリーマップ®を使った食品分類だけでなく、身体の仕組み、消化吸収、栄養素の働きや代謝などを体系的に学びながら、栄養学を実際の食品選択へつなげていきます。



目指しているのは、「この食品には○○が含まれている」と説明できることだけではありません。



なぜその食品を選ぶのか。目の前の人にはどのような選択が適しているのか。そして、その理由を相手が理解し、実践できる言葉で伝えられるのか。



そこまでできて初めて、栄養学は人を支える力になります。



栄養コンシェルジュ®は管理栄養士や栄養士だけを対象とした学びではありません。パーソナルトレーナー、スポーツ・運動指導者、美容関係者、医療・健康支援に携わる方など、現在の専門性に「栄養」という新たな視点を加えたい方にも学んでいただけます。



もちろん、自分自身や家族のために、栄養学を基礎から体系的に学びたい方も対象です。



今回の本マグロのニュースを読んで、「カテゴリー2Cについてもっと知りたい」「食品を栄養素だけではなく身体の仕組みから理解したい」と感じたなら、その興味を一つ先へ進めてみてください。



私たちは、一生食べ続けます。



だからこそ、今日身につけた食品選択の力は、明日の食事から使うことができます。そして、その知識をさらに深めれば、自分だけでなく、家族やクライアントなど誰かの健康を支える力にも変わっていきます。



栄養情報を「知っている」から、自分で「選べる」へ。

そして、誰かに根拠を持って「伝えられる」へ。



栄養学を、一生使える力に。



その第一歩を、栄養コンシェルジュ®から始めてみませんか。



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参考資料



水産庁.太平洋クロマグロの資源管理・資源評価に関する資料.



水産庁.中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)等における太平洋クロマグロの資源管理に関する資料.



文部科学省.日本食品標準成分表(八訂)増補2023年.魚介類/まぐろ類/くろまぐろ/天然/赤身/生.



文部科学省.日本食品標準成分表(八訂)増補2023年.魚介類/まぐろ類/くろまぐろ/天然/脂身/生.



一般社団法人 日本栄養コンシェルジュ協会



「栄養で人と未来を輝かせる」を理念に、科学的・医学的根拠に基づいた栄養知識の普及と、現場で活用できる実践的スキルを持つ人材の育成に取り組むヘルスケア教育機関です。 また、医療・運動・心理・生活科学など多分野の知見を統合し、本質的な健康支援を実現するための「栄養哲学」の研究にも取り組んでいます。 認定資格「栄養コンシェルジュ®」は、医療従事者やアスリートなど多分野の専門家が監修した信頼性の高い栄養学資格で、基礎から応用まで体系的に学べるカリキュラムを提供しています。 さらに資格取得後も、最新の研究情報の共有や学習機会の提供を通じて継続的な学びを支援し、資格取得者の生涯学習と専門性向上をサポートしています。



FAQ|2027年の本マグロ漁獲枠・クロマグロの栄養



Q1.2027年から本マグロはたくさん獲れるようになるのですか?



2027~2028年は、日本を含む中西部太平洋で30kg以上の大型クロマグロの漁獲枠を25%増やす一方、30kg未満の小型魚は6%減らす方向です。すべての本マグロを一律に増やすのではなく、資源状態を踏まえて大型魚と小型魚を分けて管理する点が重要です。



Q2.本マグロとクロマグロには違いがありますか?



一般に「本マグロ」と呼ばれている魚がクロマグロです。クロマグロは寿司や刺身などで広く食べられ、赤身から脂質の多い部位まであります。同じクロマグロでも部位や天然・養殖などによって栄養成分が異なるため、栄養学ではそれぞれの特徴を確認して考えます。



Q3.本マグロの赤身は高たんぱく・低脂質ですか?



文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」では、天然クロマグロ赤身・生100gに、たんぱく質26.4g、脂質1.4gが含まれます。ただし脂の多い部位では脂質やエネルギー量が大きくなるため、「マグロはすべて低脂質」と考えるのは適切ではありません。



Q4.マグロにはDHAやEPAが含まれていますか?



はい。クロマグロにはDHAやEPAなどのn-3系多価不飽和脂肪酸が含まれています。ただし、その量は赤身・脂身、天然・養殖などによって異なります。「魚だからDHA・EPAが多い」と一括りにせず、食品や部位ごとの違いまで確認することが大切です。



Q5.ダイエットや身体づくりではマグロの赤身とトロをどう選べばよいですか?



赤身と脂の多い部位では、たんぱく質だけでなく脂質やエネルギー量も異なります。そのため、単純にどちらが「良い」とは決められません。体重管理、身体づくり、スポーツなどの目的と、その日の食事全体を踏まえて食品を選択することが栄養学では重要です。



FAQ|食品カテゴリーマップ®・栄養コンシェルジュ®・栄養資格



Q6.食品カテゴリーマップ®ではマグロや魚は何番に分類されますか?



マグロを含む魚介類は、食品カテゴリーマップ®ではカテゴリー2Cに分類されます。カテゴリー番号を覚えることが目的ではなく、食品の栄養学的特徴を整理し、ほかの食品との組み合わせや目的に応じた食品選択へつなげるために活用します。



Q7.食品カテゴリーマップ®を学ぶと、食品選びはどう変わりますか?



「マグロは身体に良い」「この食品は太る」といった単純な善悪ではなく、食品の特徴と身体への役割を整理して考えやすくなります。栄養コンシェルジュ®では、食品カテゴリーマップ®を活用して、目的に応じて自分で食品を選択する力を養います。



Q8.栄養コンシェルジュ®は他の栄養資格と何が違うのですか?



栄養素や食品の知識を覚えるだけでなく、消化吸収、代謝、身体の仕組みを学び、「なぜその食品を選ぶのか」を根拠から考えることを重視しています。知識の習得だけで終わらず、食品選択や栄養コンサルティングへつなげる実践性が特徴です。



Q9.栄養コンシェルジュ®は管理栄養士やトレーナーなど専門職にも役立ちますか?



管理栄養士・栄養士をはじめ、パーソナルトレーナー、スポーツ・運動指導者、医療・美容分野など、すでに専門性を持つ方も学べます。現在の専門知識に栄養学を組み合わせ、対象者への説明力や食品選択・栄養提案の幅を広げることにつながります。



Q10.AIで栄養情報を調べられる時代に、栄養コンシェルジュ®を学ぶ意味は何ですか?



AIを使えば、マグロの栄養成分やDHA・EPAについてすぐに調べられます。しかし、「その情報を目の前の人にどう使うのか」という判断には栄養学の理解が必要です。栄養コンシェルジュ®では、情報を集める力ではなく、理解し、選び、実践し、伝える力を身につけていきます。