栄養コンシェルジュ新着情報:「ストレスだから飲む」が将来の脳に影響する?最新研究から考えるアルコールとの付き合い方【マウス研究】
2026年7月11日
「ストレスがたまったから今日はお酒を飲もう。」このように感じた経験はありませんか?
適量の飲酒を楽しむこと自体は、多くの方にとって日常の一部かもしれません。しかし、「ストレスを解消するために飲酒する習慣」が、将来の脳にどのような影響を与えるのかについて、新たな知見を示した研究が報告されました。
今回は、米国マサチューセッツ大学アマースト校の研究グループが発表した最新研究をご紹介します。
若い頃の「ストレス+飲酒」が中年期の脳に影響する可能性
今回の研究では、若齢マウスに慢性的なストレスとアルコールを繰り返し経験させた後、約3か月間アルコールを完全に断ち、中年期に相当する時期の認知機能や脳の状態を調べました。
その結果、新しい場所を記憶する能力には大きな変化が見られなかった一方で、状況の変化に応じて考え方や行動を切り替える「認知の柔軟性」が低下していました。
さらに、ストレス反応を調節する脳の部位「青斑核(Locus Coeruleus)」では、神経活動の切り替えが正常に行われにくくなっている可能性や、酸化ストレスの増加も確認されています。
研究者らは、若い頃のストレスと飲酒の経験が、長期間断酒した後でも脳へ影響を残す可能性を示したと報告しています。
研究結果をそのまま人へ当てはめることはできません
ここで大切なのは、この研究はマウスを対象とした基礎研究であるという点です。
今回の結果だけで、「若い頃の飲酒が将来の認知症につながる」「飲酒は危険だからやめるべき」と結論づけることはできません。
しかし、「ストレスへの対処法」が将来の健康へ影響する可能性について、新たな視点を与えてくれる研究であることは確かです。
今後は、人を対象とした研究によるさらなる検証が期待されます。
アルコールは「悪い食品」ではなく、付き合い方が重要
一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会が開発・普及する食品カテゴリーマップ®では、アルコール飲料はカテゴリー7に分類されています。
カテゴリー7は、お酒や嗜好品など、「人生を楽しむ」という役割を持つ食品群です。
そのため、アルコールを一律に「悪いもの」と考えるのではなく、目的や量、頻度、そして「なぜ飲むのか」という背景まで含めて考えることを大切にしています。
例えば、食事や人との交流を楽しむための適量の飲酒と、ストレスを紛らわせるためだけの飲酒では、健康への影響は同じではない可能性があります。
食品カテゴリーマップ®は、食品を善悪で分けるのではなく、一人ひとりの生活背景や目的に合わせて選択する力を育てるための実践ツールです。
健康情報があふれる時代だからこそ、「正しく理解する力」を
健康や栄養に関する情報は、インターネットやSNSを通じて毎日のように発信されています。
だからこそ重要なのは、研究結果を一部だけ切り取って判断するのではなく、「どのような研究なのか」「何が分かり、何がまだ分かっていないのか」を理解することです。
栄養コンシェルジュ®では、最新の研究を丸暗記するのではなく、科学的根拠を正しく読み解き、一人ひとりの生活や健康状態に合わせて活用する力を重視しています。
食べ物に善悪はありません。
大切なのは、科学的根拠をもとに、自分自身や家族、支援する方にとって最適な選択ができることです。
健康情報があふれる今だからこそ、「知識」だけで終わらない実践的な栄養学を一緒に学んでみませんか。
参考文献
Revka O, Belculfine SJ, Fitts L, Nippert KE, Teves CAF, Reis PM, et al. Impact of chronic alcohol and stress on midlife cognition and locus coeruleus integrity in mice. Alcohol: Clinical and Experimental Research. 2026;50:e70273.
FAQ|よくある質問と回答
Q1. ストレスを感じたときにお酒を飲む習慣は、将来の脳に影響するのでしょうか?
A. 今回紹介した研究では、若い頃にストレスとアルコールを繰り返し経験したマウスで、長期間断酒した後でも中年期に認知機能や脳の一部へ変化が認められました。ただし、これはマウスを対象とした基礎研究であり、人で同様の影響が起こると証明されたわけではありません。ストレスへの対処方法について新たな視点を示した研究として注目されています。
Q2. 「認知の柔軟性」とは何ですか?
A. 認知の柔軟性とは、状況の変化に応じて考え方や行動を切り替える能力のことです。新しい環境への適応や問題解決、生活習慣の改善などにも関わる重要な認知機能とされています。今回の研究では、この能力に変化が認められたことが報告されています。
Q3. アルコールは脳に悪い飲み物なのでしょうか?
A. 一律にそのように判断することはできません。飲酒量や頻度、年齢、健康状態だけでなく、「どのような目的で飲むのか」という背景も重要です。今回の研究では、ストレス対処としての飲酒習慣が脳へ影響する可能性が示されましたが、人への影響については今後の研究が必要です。
Q4. 食品カテゴリーマップ®ではアルコール飲料をどのように考えていますか?
A. 食品カテゴリーマップ®では、アルコール飲料はカテゴリー7に分類されています。カテゴリー7は「禁止する食品」ではなく、お酒や嗜好品など、生活を楽しむための食品群です。健康状態や目的、飲酒量、飲酒頻度を考慮しながら、適切に付き合うことを重視しています。
Q5. ストレスを感じたとき、お酒以外におすすめの対処法はありますか?
A. 十分な睡眠、適度な運動、バランスの良い食事、趣味、人との交流、リラクゼーションなど、複数のストレス対処法を持つことが大切です。飲酒だけに頼らない生活習慣をつくることは、心身の健康維持にも役立つと考えられています。
Q6. 栄養コンシェルジュ®は他の栄養資格と何が違うのですか?
A. 栄養コンシェルジュ®は、栄養素の知識を学ぶだけでなく、「どうすれば相手が実践できるか」という行動変容まで学べる実践型資格です。医学・栄養学・運動生理学を体系的に学び、一人ひとりの生活背景に合わせた栄養サポートを身につけることができます。
Q7. 食品カテゴリーマップ®とはどのようなツールですか?
A. 食品カテゴリーマップ®は、2,000種類以上の食品を主成分ごとに7つのカテゴリーへ整理した、栄養コンシェルジュ®独自の実践ツールです。食品を「良い・悪い」で判断するのではなく、目的や生活背景に応じた食事選択を分かりやすく提案できることが特徴です。
Q8. 栄養コンシェルジュ®では最新の研究も学べますか?
A. はい。最新の研究を単に紹介するのではなく、「どのような研究なのか」「どこまで分かっていて、何がまだ分かっていないのか」という研究の読み解き方も大切にしています。科学的根拠を現場で活かせる力を養います。
Q9. 栄養コンシェルジュ®はどのような職種の方が受講していますか?
A. 管理栄養士、医師、看護師、理学療法士、薬剤師、トレーナー、ヨガ・ピラティスインストラクター、保育士、介護職など、多様な専門職が受講しています。また、自分や家族の健康づくりを目的に受講される一般の方も増えています。
Q10. なぜ今、科学的根拠に基づく栄養学を学ぶことが重要なのでしょうか?
A. 健康情報があふれる現代では、SNSやインターネットを通じて多くの情報が発信されています。しかし、すべてが正確とは限りません。だからこそ、研究の根拠や限界を理解し、一人ひとりの健康状態や生活背景に合わせて活用できる力が重要です。栄養コンシェルジュ®は、その「知識を実践へつなげる力」を体系的に学べる資格です。
Q11. 栄養コンシェルジュ®ではアルコールや嗜好品も「食べてはいけない」と指導するのですか?
A. いいえ。栄養コンシェルジュ®では、食品や飲み物を善悪で判断することはありません。アルコール飲料は食品カテゴリーマップ®のカテゴリー7に分類され、目的や健康状態、飲酒量、生活背景を踏まえて適切に付き合う考え方を重視しています。一人ひとりに合わせた現実的で継続可能な提案が、栄養コンシェルジュ®の大きな特徴です。
一般社団法人 日本栄養コンシェルジュ協会
「栄養で人と未来を輝かせる」を理念に、科学的・医学的根拠に基づいた栄養知識の普及と、現場で活用できる実践的スキルを持つ人材の育成に取り組むヘルスケア教育機関です。 また、医療・運動・心理・生活科学など多分野の知見を統合し、本質的な健康支援を実現するための「栄養哲学」の研究にも取り組んでいます。 認定資格「栄養コンシェルジュ®」は、医療従事者やアスリートなど多分野の専門家が監修した信頼性の高い栄養学資格で、基礎から応用まで体系的に学べるカリキュラムを提供しています。 さらに資格取得後も、最新の研究情報の共有や学習機会の提供を通じて継続的な学びを支援し、資格取得者の生涯学習と専門性向上をサポートしています。

